さらにしばらく船でドナウを下る。この辺りは黒海に近く、川と言うよりは沼といった風情だ。いつの間にか霧が出てきた。明るくなるにしたがって川面を覆う湯気のような朝靄が濃くなり、陸から川に静かに流れてくる。幻想的な景色だった。