ドナウは黒海に突き出した2本の低い防波堤に導かれるように、黒海の沖へと進む。もうその防波堤も跡しばらくで途絶え、文字通り黒海にドナウが飲み込まれるあたり、古い灯台が立っていた。青い水面、水色の空、そして白い灯台。シーンと静まりかえったなか、ポンポンと船のエンジンの音だけがあたりに響いていた。